宅地建物取引士 【国家資格】

スポンサーリンク

宅地建物取引士とは

宅地建物取引士とは、その名の通り「宅地」や「建物」を売買や交換、貸借の取引などの不動産取引を行う事が出来る国家資格です。不動産など、購入者等の利益の保護及び円滑な宅地又は建物の流通に役立てれるよう、公的な立場で公正かつ誠実に法に定める事務(重要事項の説明等)を行う、不動産取引法務の専門家です。

目次

難易度
就職
仕事内容

資格概要
受験資格
資格の登録・欠格事由
試験内容
科目の免除
合格基準
願書申込み受付期間
試験日程
受験地
受験料
合格発表日
合格後
受験に関する問い合わせ

関連書籍
宅地建物取引士の学校・講座
宅地建物取引士の関連資格
関連用語

難易度

★★★☆☆
近年合格率は16%前後を推移しています。一見低く見える合格率ですが、受験資格がなく誰でも受験可能なのと、受験者の中には不動産関係の仕事に就いたばかりの人が「取りあえず受けてみるか」や「会社から受けるように言われた」など、試験の為の勉強時間が足りない人が多く、合格率を下げている現状があります。難易度としてはそれほど難しくはないです。

勉強期間としては、基礎知識がある場合でおよそ3~4か月、基礎知識が無い場合でおよそ6ヶ月程が平均値です。

就職

宅地建物取引業法の規定により、宅地建物取引業者は「事務所」に対して従業員5人に1人、「モデルルームなどの事務所以外」では人数に関わらず1人の成年者である専任の取引士を置かなければならないということもあり、就職ではやはり不動産業界が一般的です。また、不動産信託などで金融機関でも生かせます。

有資格者以外は法的に不動産を売買などの取引をする事は出来ませんので、基本的には有資格者には賃金に加算される場合も多いでしょう。人の3大要件である「衣・食・住」の内の「住」に関わる仕事となり、需要が無くなる事はまず無いでしょう。

仕事内容

宅地や建物の売買・交換や賃貸契約を締結する際の重要事項(権利関係や法的な制限、取引条件)の説明や、重要事項説明書・契約書への記名や捺印が主な業務となります。また、不動産関係では営業に従事する方が資格を取得し、契約時に自身で取引を締結する場合もあります。※関連用語に追記あり

資格概要

受験資格

性別や国籍など不問です。

※例外ではありますが、試験において不正を行った者は、3年間は受験できません。

受験資格は不問ですが、登録の際は条件があります。詳しくは次項にて。

資格の登録・欠格事由

試験に合格後、免許を受ける際に以下の理由で登録が出来ない場合があります。基準は多いように見えますが、いずれも特殊な理由が多く、犯罪を防止する目的のものが多いので、普通はあまり気にする必要はありません。

試験を受ける際にまず気にする部分は、成人か未成年かということです。試験自体は未成年でも受験が可能ですが、免許を交付・登録し、仕事として宅地建物取引士の業務を行うには条件があります。

下記の項目では一番下になる部分で、「未成年者の場合は成年者と同一の行為能力を有しない未成年者・・・」とあり、未成年者であっても、一度でも婚姻したことがある場合(成人前に離婚した際でも)は成年者とみなされます。また、法定代理人(親権者や未成年後見人)から宅建業に関し営業の許可を受けている場合も業務をすることが可能です。法定代理人がいたとしても法定代理人が下記項目に当てはまる場合は不可となります。

更に、法人の役員や個人業者の本人が主として業務を行う場合も成年者として扱われます。これは、個人で免許を取得して専任の取引士となり営業まで一人で行うことや、法人の役員の業務を行うといった能力があるということは、成年者と同じ能力があると考えられるからです。

以下は免許の登録ができない事由についてなるべく軽くまとめています。

  • 成年被後見人、被保佐人、復権を得ていない破産者
  • 免許を取り消され、取消しの日から5年を経過していない者
  • 免許取消処分前に廃業し、廃業届から5年を経過しない者
  • 上記で廃業をした際に法人であった場合は、解散・廃業の届出をした法人の、聴聞の公示日前60日以内に役員であった者で、その消滅または届出から5年を経過していない者
  • 禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行が終わって5年、または時効の完成などにより刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
  • 一定の罰金刑に処せられ、その刑の執行が終わって5年、または時効の完成などにより刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
  • 免許申請前5年以内に、宅建業に関して不正または著しく不当な行為をした者
  • 宅建業に関して不正または不誠実な行為をするおそれが明らかな者
  • 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律に規定する暴力団員または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
  • 営業に関して成年者と同一の行為能力を有しない未成年者で、その法定代理人が上記項目のどれかに該当する場合

試験内容

四肢択一、50問/2時間の筆記試験
1.土地の形質、地積、地目及び種別並びに建物の形質、構造及び種別に関すること。
2.土地及び建物についての権利及び権利の変動に関する法令に関すること。
3.土地及び建物についての法令上の制限に関すること。
4.宅地及び建物についての税に関する法令に関すること。
5.宅地及び建物の需給に関する法令及び実務に関すること。
6.宅地及び建物の価格の評定に関すること。
7.宅地建物取引業法及び同法の関係法令に関すること。

科目の免除

登録講習修了者は試験内容が 四肢択一45問 1時間50分 となり、上記試験内容の1.と5.が免除されます。
登録講習は受講、及び講習内で実施する修了試験に合格すると登録講習修了者となり、以後3年以内に行われる試験において、科目の一部(上記)が免除となります。

登録講習の登録講習機関一覧はこちらで確認出来ます。

合格基準

50問中32問以上正解した者。
※登録講習修了者は45問中27問以上正解した者。
実施会により多少の変動があります。

願書申込み受付期間

インターネット ― 7月上旬~中旬頃まで
郵送 ― 7月上旬~末頃まで

試験日程

通年10月第3日曜日

受験地

受験する人の居住している都道府県の指定された試験会場で行われます。

受験料

7,000円(税込み)

合格発表日

12月上旬頃

合格後

試験に合格後は、受験地の都道府県知事の資格登録を受け、宅地建物取引士証の交付を受ければ宅地建物取引士となることができます。
宅地建物取引士合格後、実務経験2年未満の者と一部免除者については国土交通大臣の登録を受けた講習(登録実務講習)を受講する必要があります。

また、資格を取得してから、一定期間経過後に更新を行う必要があります。資格としての有効期限はありませんが、業務を行う上で取引主任者証の有効期限は5年間となります。5年ごとに法定講習(都道府県知事の指定した講習で、有効期限の満了の日の前6か月以内に行われるもの)及び取引主任者証の更新が必要です。失効した場合は新たに交付を受けるまで取引主任者としての業務を行うことができませんが必要なときに講習を受けることにより業務を行えるようになります。

■全項目でも触れましたが、以下のいずれかに該当する方は、宅地建物取引士の登録が出来ません。登録が出来ないので宅地建物取引士証が交付されることもありません。また、登録後でも以下に該当するに至った場合は、該当した日から30日以内に登録の消除を届出なければなりません。

1.成年被後見人、被保佐人
2.破産者で復権を得ない者
3.宅地建物取引業に係る営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者
※20歳未満でも親権者から営業の許可を受けた者(民法第6条)や、婚姻による成年擬制(民法第753条)により、成年者と同一の行為能力を有するに至った未成年者は、登録可能です。
4.禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から5年経っていない者
5.宅地建物取引業法違反、傷害罪などの暴力関係の罪、背任罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から5年経っていない者
6.宅地建物取引業法第66条第1項8号・9号による宅地建物取引業免許の取消(以降「免許取消」と略す)の日から5年経っていない者
7.宅地建物取引業者が法人の場合においてその役員だった者で、免許取消の日から5年経っていない者(役員は免許取消処分の聴聞の期日及び場所の公示日前60日以内に役員だった者に限る)
8.免許取消処分の聴聞の期日及び場所が公示された日から処分をするかどうかを決定するまでの間に解散・廃業の届出をした者(相当の理由がある場合を除く)で、届出の日から5年経っていない者
9.免許取消処分の聴聞の期日及び場所が公示された日から処分をするかどうかを決定するまでの間に合併により消滅した法人、または解散・廃業の届出のあった法人(相当の理由がある法人を除く)の役員だった者で、当該消滅または届出の日から5年経っていない者(役員は免許取消処分の聴聞の期日及び場所の公示日前60日以内に役員だった者に限る)
10.宅地建物取引業法第68条の2第1項2号・3号・4号による宅地建物取引士登録消除処分(以降「登録消除処分」と略す)の日から5年経っていない者
11.登録消除処分の聴聞の期日及び場所が公示された日から処分をするかどうかを決定するまでの間に登録消除の申請をした者(相当の理由がある場合を除く)で、その登録消除の日から5年経っていない者
12.事務の禁止処分を受け、その禁止の期間中に、本人の申請によりその登録が消除されまだその期間が満了していない者
13.暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第2条第6号に規定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなった日から五年を経過しない者

受験に関する問い合わせ

一般財団法人 不動産適正取引推進機構試験部 03-3435-8181

関連書籍

関連書籍はこちら

宅地建物取引士の学校・講座

【資格の大原】宅建主任者になるなら

ユーキャンの宅地建物取引士(宅建)講座

宅地建物取引士の関連資格

不動産鑑定士
司法書士
土地家屋調査士
測量士
競売不動産取扱主任者

関連用語

●宅建士
宅地建物取引士の略称です。

●宅建試験
宅地建物取引士試験の略称です。

●宅地建物取引主任者
宅地建物取引主任者とは、宅地建物取引士の以前の名称であり、平成26年度まで実施されていた試験、及び呼称です。平成27年度からは宅地建物取引主任者はなくなり、より上位の資格となる宅地建物取引士となりました。資格を昇格させた目的としては、より公正で誠実な立場での取引を課すということですが、以前の資格を有しているすべての人もそのまま昇格という形であり、現状では昇格させた意味が無いようにも思えます。下記も合わせて読んでみて下さい。

●営業者が資格を取得する現状
宅地建物取引士とは、宅地や建物の取引行為の公証(立会確認)・審判(法的判断)事務のみを法的地位から行います。その事務以外の業務については、宅地建物取引士の試験を合格しただけの人や、登録までしか行っていない者など、宅地建物取引士証の交付を受けていない者は認められるが、宅地建物取引士試験に合格、登録、交付までを受けた者は公正独立の立場でないといけない為に認められないと考えられるのです。要は、二者の間の取引について公正な立場でないといけないのに、営業してる側に有資格者がついていては公正ではないのではないかと考えられているようです。そんな現状を打破するためにも、業法とは独立させた宅地建物取引士法の成立が必須ではないでしょうか・・・。

Pocket
LINEで送る


PAGE TOP ↑